名古屋地方裁判所 昭和44年(ホ)173号 決定 1969年9月10日
被審人 東洋レミコン運輸株式会社
主文
被審人を過料金参百万円に処する。
本件手続費用は被審人の負担とする。
理由
被審人は、東京地方裁判所昭和四二年(行ク)第五七号緊急命令申立事件において、昭和四二年一二月二五日付決定をもつて東京地方裁判所昭和四二年(行ウ)第一八四号救済命令取消請求事件の判決があるまで労働委員会の命令に従い、小中英雄、吉田義春、早川正三、桜井正義および住田政司らを昭和四〇年四月二七日当時の原職に復帰させ昭和四〇年四月二八日以降原職に復帰するまでの間に同人らが受けるはずであつた諸給与相当額をその間の中間収入を控除の上、支払わねばならない旨の命令を受けたのにかかわらず昭和四三年一二月一五日以降同四四年三月二三日現在まだその履行をしないものである。
右の事実は、本件記録に添付されている通知書によつて明らかであるから労働組合法第三二条、非訟事件手続法第二〇七条の規定に従つて主文のとおり決定する。
(裁判官 奥村義雄)
〔参考資料〕
中労委審二発第三二五号
昭和四四年三月二四日
中央労働委員会
会長 石井照久
名古屋地方裁判所 御中
緊急命令不履行通知
愛知県名古屋市中川区富田町江松三日月二二六二
(履行義務者) 東洋レミコン運輸株式会社
代表取締役 杉崎英治
東京地方裁判所昭和四二年(行ク)第五七号緊急命令申立事件に関しては昭和四二年一二月二五日別紙(疎第一号)内容の決定があり、この緊急命令違反については御庁から昭和四三年五月一一日(過料十万円)、同年七月二二日(同十万円)、同年九月二八日(同十万円)、同年一二月一八日(同二十万円)の決定がそれぞれなされたのであるが、履行義務者は別紙(疎第二号の一および二)のとおり、現在なお前記緊急命令を履行していない。右のとおり過料決定四回におよぶ事件は緊急命令制度実施以来二十年間にその前例をみない。しかもなお履行義務者は本件緊急命令を履行しようとしていないのである。かかる現行法秩序無視は許し難いところであつて、その原因の一つとして過去四回のそれぞれの過料額が労働組合法第三十二条の規定の趣旨からみても、また現今の経済事情からみても少ないことがあげられると思料する。
よつて、労働委員会規則第五十六条第一項により準用する第五十条第二項の規定に基づいて通知するので、厳重に処罰されたい。
添付書類<省略>